うさぎの書庫

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終わる恋のはなし

空が青い。


あの日の空も、こんな青だったろうか。深くて、淡いベビーブルー。

あの日と同じ空なのに、私たちはこんなにも変わってしまった。


あの日。私たちは付き合い始めた。あんなにも想い合っていた二人。じれったい恋の終わりの、この胸いっぱいの幸福感。これ以上の幸せなんてないと思えた。


それから二人は幸せだった。のに。なぜこうなってしまったのだろう。


例えるなら、擦り切れたスニーカーの靴底みたいだと思った。新品のピカピカの靴が、使ううちに歩き方の変な癖で片側だけ擦り切れてしまうのだ。


擦り切れた二人の関係。


積もるのはただ、自分と相手どちらへのか分からない罪悪感と、空白を繋げるような虚しさだった。


今は、キリキリと痛かった胸が嘘みたいに軽い。


恋心と胸の痛み、消えたのはどちら?


....両方。


私は心の中で呟いた。